地が傾いて舞が舞われぬ

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ミッフィーの早引き人体解剖用語ハンドブック

タイトルにぎょっとして思わず注文したミッフィーの本2冊つが届いていた。後藤昇監修、楊箸隆哉「ミッフィーの早引き人体解剖用語ハンドブック」、志田京子「ミッフィーの早引き看護聞き言葉・略語ハンドブック」どちらもエクスナレッジから1365円。

看護学生や看護師向けのハンドブックというのが真相で、現場を意識しているのか丈夫なビニールカバーがついていた。しかもオールカラーでこの価格は安いと思う。

ミッフィーが白衣を着て解剖授業をするようなスプラッターな状況を期待していたが、残念ながらそういうことはなかった。そういうことが好きな人は「自殺うさぎの本」シリーズを読むといいですよ。

「早引き人体解剖用語ハンドブック」の方は、表紙や各章にはなんとなく関係あるミッフィーの絵があるだけで、他は普通の用語ハンドブックだった。でも、図版が豊富で素人が見てもかなり楽しい。最近私は、左手だけ痺れてけっこう緊迫しながら医者に行ったところ、頸椎症性神経根症とわかったのだが、その頸椎を調べたりした。知人にも似たような頸椎由来のしびれを体験した方が多くて、ちょうど同じころ皇后が同じ診断をされたなどとニュースになっていた。


一方の「早引き看護聞き言葉・略語ハンドブック」は、タイトルの通り正式名称というよりも現場で使われる用語辞典だった。これは看護学生というよりも現場での利用を念頭に置いているようだ。よく映画や実際の病院で略称を言い合ったり、カルテやホワイトボードに略号を書いてあったりして、それを知りたくて買ってみた。これまで、カルテをドイツ語で書く先生が、患者が独語堪能でまるわかりだったとか、つげ義春の日記だったかな、癌診断にカルテに「G」と書かれた話などを思い出した。

こちらも、中表紙や章扉にイラストがあるだけだったが、インデックスのところがかわいい。

さて、医療の現場用語といっても、いざ用語辞典を目の前にして引こうとしてもなかなか浮かばない。ここ数年、医者に行く機会が多くて何か思いつきそうなものだけども、結局、最初に浮かんだのがケーシー高峯の「クランケ」だった。これは調べたらとか今は英語で「ペーシェント」と言う場合も多いようだ。略して書くときは「Pt」。そう、こういうのがかっこいい。もう一つ思い出した現場っぽい用語が「バイタル取って」。これは「バイタルサイン」の略で、生命徴候のことのようだが、略すときは「VS」だそうだ。かっこいい。

でも、こういう用語は患者にわからないように略語を使っているときもあるので、正しい患者としてはあまり知らない方が良いような気もしている。

そういえば我が家では、アンパンマンの絵を見るとその場から動かなくなる子供対策に、夫婦でAPMという暗号を使っていた。スーパーとか、子供がひっかかる絶妙な場所にアンパンマンの絵など配置しているので、その対策に、見つけたら「あっちにエーピーエムがあるからこっちに行こう」「そのエーピーエムのチラシ隠して」とか。しかし子供というのは本当に賢いもので、そのうちにアンパンマン的コンテキストでその「APM」という言葉が使われることを察してしまい、子供自身が「エーピーエムの絵描いてー」とか言うようになってしまったですよ。結局、1年もこの暗号は使えなかったな。

(この使いこんで素敵な傷だらけのiPodと、美しい光沢を持った新品iPodの写真を、製品への愛と勇気が友達だったジョブズさんに捧げます)

話が横に逸れてしまった。ミッフィー本に戻るが、どちらも面白いのは監修のおそらく偉いお医者さんが前書きを1ページ書いているのだが、そこでは内容に触れているだけで、ミッフィーのミの字もないことだ。「看護学生が好きなミッフィーを表紙にして楽しく持ち歩けるようにしました」とかまったくない。おそらくこのミッフィー化は、著者/監修者の意志ではなく、少しでも差別化して目に付くように、看護学生が書店で手に取るようにするための、編集者/出版社の仕業だと思う。CSSだけ別の人が書いたみたいな。そしてこの試みは成功するのではないかと思う。私みたいな人が釣れたのは想定外だったろうけどもね。ちなみに私は尊敬するある方のクローズドな日記で知りました。

そうそう、ミッフィー本というといろいろあるけども私が好きなのはこの「ミッフィーのおばあちゃん」だ。あ、タイトルが違う

うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん (4才からのうさこちゃんの絵本セット1) (ブルーナの絵本)

私が持ってるのはこちらだ。

「ミッフィーのおばあちゃん」というタイトルで本棚から出すとこの表紙、という衝撃の本で、でも中身は、死というものを子供にどう理解してほしいか、どう理解させたらよいか、が書かれた秀作だ。とはいえ、この表紙はびっくりだよ。よく見ると私が持っているのは講談社版で、現行の「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」は福音館のようだ。びっくりするのでタイトルで少しやわらげたのかもしれない。

ハローキティの図解人体解剖用語辞典 (HELLO KITTY NATSUMESHA NURSE)

ということで、ミッフィー看護本は、素人が見ても意外に面白くてオススメだ。ついでに「ミッフィーのおばあちゃん」もオススメですよ。


追記: 看護師さん情報によると、表紙がファンシーなものは以前からあるそうで、キティちゃんもあるそうですよ(2009年ナツメ社)。私が看護師だったらピノコがいいな。

ミッフィーの早引き人体解剖用語ハンドブック

ミッフィーの早引き人体解剖用語ハンドブック


ミッフィーの早引き看護聞き言葉・略語ハンドブック

ミッフィーの早引き看護聞き言葉・略語ハンドブック


自殺うさぎの本

自殺うさぎの本



ハローキティの図解人体解剖用語辞典 (HELLO KITTY NATSUMESHA NURSE)

ハローキティの図解人体解剖用語辞典 (HELLO KITTY NATSUMESHA NURSE)